会場:同志社大学今出川キャンパス 良心館 RY305教室
講師:Walden Bello(Focus on the Global South)
言語:英語(日本語通訳付)
主催:グローバル地中海地域研究同志社拠点「資本主義/民主主義」研究班
共催:グローバル・ジャスティス研究会
Friday - April 14, 2023 Washington DC. World Bank Group/International Monetary Fund 2023 Spring meetings. © 2023 The World Bank Group (No change has been made)
現在、途上国の債務危機が再燃する兆しを見せている。この間、デフォルトの連鎖は、2020年5月のアルゼンチンを皮切りに、アフリカのザンビア、南米のスリナム、中東のレバノン、南アジアのスリランカへと拡大してきた。世界銀行の債務統計によれば、現在53カ国が危険水位に達しており、地球規模の債務危機に発展することが懸念されている。
なぜこれらの国々が一斉に財政破綻に直面しているのか。その引き金となったのが、パンデミックの到来と、その後の金利の引き上げである。2008年の金融危機以降、主要国の中央銀行は、ゼロ金利や量的緩和などを通じて景気回復を図ってきたが、その資金の大半は、投機マネーとして金融市場を潤し、株式や不動産、国債の購入などに充てられてきた。だが、コロナ禍によって世界経済が減速し、やがてインフレ対策として利上げが実施されると、対外債務が膨らんだ途上国が再び「債務の罠」に陥ったのである。
なぜ金融危機が繰り返されるのか。この講演会では、マニラとバンコクに拠点を置くFOCUS ON THE GLOBAL SOUTHの共同代表として、長年、第三世界の債務問題に取り組んできたウォールデン・ベロー氏とともに、IMF主導のグローバリゼーションの矛盾と、その打開策について考える。
フィリピンの社会学者・人権活動家。FOCUS ON THE GLOBAL SOUTH共同代表。現在、ニューヨーク州立大学ビンガムトン校の客員教授、京都大学東南アジア地域研究研究所の客員研究員を兼任。
1966年にマニラのアテネオ大学を卒業後、75年にプリンストン大学でPh.D(社会学)を取得。マルコス政権下で民主化運動に取り組んだ後、IMFと世界銀行が推進する開発政策を批判的に検証し、東南アジアにおけるグローバル・ジャスティス運動の代表的論客として知られるようになる。2003年には、スウェーデンのストックホルムで「もう一つのノーベル賞」と呼ばれるRIGHT LIVELIHOOD AWARDを受賞。
研究業績として、『フィリピンの挫折:世銀・IMFの開発政策とマルコス体制』(三一書房、1985)、『脱グローバル化:新しい世界経済体制の構築へ向けて』(明石書店、2003)のほか、25冊あまりの著作がある。
近著:Counterrevolution: The Global Rise of the Far Right (Nova Scotia: Fernwood, 2019), Paper Dragons: China and the Next Crash (London: Bloomsbury/Zed, 2019), Capitalism’s Last Stand? (London: Zed, 2013), The Food Wars (London: Verso, 2009), Dragons in Distress: Asia’s Miracle Economies in Crisis (London: Penguin, 1990) など。
菊池恵介(同志社大学グローバル・スタディーズ研究科)
kkikuchi@mail.doshisha.ac.jp